カナダでワーホリ中のarcherです。
ワーホリビザで渡航している皆さんはTax Returnを行いましたか?
カナダで働いている全ての人はTax Returnを行わなければいけませんがカナダ人とワーホリで来ている日本人では手続きの方法が異なります。
このブログでは2022年にワーホリでカナダに来た日本人が実際に申請したTax Returnを元に「ワーホリでカナダに来ている日本人に向けたTax Returnの方法」を詳しく解説します。
また実際の還付額も紹介しているのでTax Returnをするときの参考にしてみてください。さらにこのブログではワーホリビザの人がなぜTax Returnをオンラインで出来ないのかも解説しています。
このブログを読めばワーホリビザで渡航している人でも1人でTax Returnができるようになります!

ワーホリ用のTax Returnの方法が書かれた記事はほとんど無いので保存用に使ってください!
注意
- 基本的にカナダのワーホリビザ保持者の目線で記事を書いています。
- この記事はオンタリオ州を基準に作成しています。他の州は基本的な還付の方法は同じですが期日や控除項目が変わることがあるので注意してください。
- なるべくしっかりと調べ、できる限りソースも掲載していますが専門家ではありませんので情報に誤りがある場合があります。こちらの方法でTax Returnをする際は自己責任でお願いします。訂正事項があれば問い合わせからお知らせいただけると幸いです。
Tax Returnとは

Tax Return(タックスリターン)とは日本でいう確定申告の事です。
前年度に支払った税金を再計算し、不足している場合は納税し、多く払っていた場合には還付を受けます。
Tax Returnはカナダの歳入庁Canada Revenue Agency(以下CRA)という機関に納税情報を提出します。
日本で正社員として働いている場合は確定申告をしなくていい場合が多いですがカナダでは働いている全ての人が個人または家族でTax Returnをする必要があります。
ワーホリでカナダに来ている人の多くは還付を受ける可能性がかなり高いのでTax Returnは必ず行った方が良いです。

人によっては$1000以上の還付を受けることができるのでやらなきゃもったいない!
ワーホリビザの人はオンラインで提出できるの?
結論から述べると、ワーホリビザで渡航しているほとんどの日本人はオンライン提出が出来ません。できませんというかしてはいけません。
その理由を解説します。
まずオンラインでTax Returnをする際にはNETFILEというシステムを使用するのですが、NETFILEの利用資格に「Non ResidentとDeemed ResidentはNETFILEは利用できない」と記載されています。
File your taxes online: NETFILE eligibility
では、Non ResidentとDeemed Residentは何を指すのでしょうか?こちらのページによると「カナダで一時的に労働している人のうち」、
- 年間183日以上カナダに滞在していないかつ「Significant residential ties」が無い場合はNon Residentとする
- 年間183日以上カナダに滞在しているが「Significant residential ties」が無い場合はDeemed Residentとする
と書かれています。
では、Significant Residential tiesとはなんでしょうか。Significant Residential tiesは簡単にいうと「大きなカナダとの結びつきの事」のことです。
- 住居を持っている
- 純カナダ人の配偶者またはコモンローパートナーである
- 純カナダ人の扶養家族である
以上のいずれかを満たせばSignificant Residential tiesがあることになります。
ワーホリビザで渡航している人はほとんどの人が該当しないので、ワーホリの人はNon ResidentまたはDeemed Residentとなりオンライン提出はできないという訳です。
Determining your residency status
補足
こちらのサイトにはもう少し詳しくSignificant Residential tiesについて書かれています。
「住居を持っている」とは住居を所有しているか、長期に渡って賃貸している必要があると書かれています。
ワーホリの人で住居を購入したり、長期で契約する人はほとんどいないのでSignificant Residential tiesを持っていないと考える事ができます。
さらに、Tax Returnの計算ソフトWealth Simpleのサイトには「ワーホリビザの人はWealth Simpleを”使用”する事ができない」と記載があるのでワーホリの人は使えません。
オンラインの計算ソフトはResidentの為にプログラムされているのでワーホリの人は項目や計算法が変わったり、払うべき税の種類が違うから使えないのだと考えられます。
ワーホリビザの人はT1という紙をCRAに直接提出することでCRAの職員がSINと照らし合わせて自分のステータスに合った税の計算をしてくれて、結果的に適当な納税ができるという仕組みだと思います。
逆にいうとオンラインで提出した場合は自分に資格がない控除や還付を受けてしまう可能性が大いにあります。オンラインで申請することで無駄な税金を払うことになる可能性もあります。
CRAから返金を求められたり、最悪の場合罰金が課されることもあるのでオンラインで提出するのはやめましょう。
しかし、ワーホリの人は計算ソフトが使えないというわけではありません。CRAから認可されたソフトの中にはワーホリの人が「計算」の為に使っていいソフトがあります。
今回紹介するTurbo Taxはその一つです。こちらのTurbo TaxのサイトにワーホリでもTurbo Taxを利用して良いと書かれています。
I am on a working holiday visa and need to file income tax for the first time in Canada.
こちらはTax Returnのソフト一覧です。計算ソフトを利用するときはその計算ソフトがワーホリに対応しているかよく確認してください
余談
「ワーホリビザでカナダに来ている人のTax Return」について皮肉たっぷりで詳しく書かれている記事を見つけたので紹介します。
Your Bullsh*t-Free Guide to Canadian Tax for Working Holidaymakers
3つのTax Returnの方法
ワーホリビザで渡航している人のTax Returnの方法は主に3つあります。
- 全て自分で申請
まずは、CRAのウェブサイトにTax Returnの申請用紙があるのでそこに自分で計算して記入して郵送で送付する方法があります。この方法は計算が複雑でミスが起こりやすい上に面倒なのでオススメしません。

このような申請用紙をインターネットでダウンロードして自分で書き込みます。オンタリオ州の申請用紙はこちらからダウンロードすることができます。
5006-R Income Tax and Benefit Return (for ON only)
- 計算ソフトを使って郵送で提出
2つ目の方法はTax計算ソフトを使う方法です。
Tax ReturnソフトのTurbo Taxには「ワーホリの人は”書類の準備”にTurbo Taxを使用することは可能」と記載があるので計算機能自体は使用可能です。
しかし、書類を作成した後は書類をCRAに郵送で送る必要があります。
計算はソフトがやってくれるのでとても簡単な上に切手代以外の料金は掛からないので1番コスパがいいです。このブログではこのやり方を紹介します。
- 税理士やエージェントに頼む
税理士やエージェントに代行費用を払って申請をしてもらう方法です。お金は掛かりますが一番簡単です。
Tax Returnはそこまで難しく無いので自分でやるのがオススメです。しかし以下のようなケースは手続きが複雑になるので代行してもらうのがいいかもしれません。
- 個人事業主として働いていた場合
- 所得税以外のインターネット上に情報の無い項目を控除申請したい場合
- Tax Return時には日本に帰国している場合
Tax Returnの申請期間
1月1日から12月31日までに支払った税についてのTax Returnを翌年の4月末までに行います。Tax Returnができるのは2月中旬からです。
申請期限を過ぎてもTax Returnは受理されますが、還付ではなく追納だった場合は延滞金が課せられます。
Tax Returnに必要な書類
- T4
T4とは1月末までに昨年度勤めていた会社からもらえる日本の源泉徴収票のような物です。

これは実際に勤めていた会社から貰ったT4です。昨年度の収入や支払った所得税が記載されています。
T4は勤務日数に関わらず会社が発行しなければいけないものなので1年の間に1日でも働いたらT4を受け取ることができます。
- ホテルの領収書
Ontario州にはOntario Staycation Tax Creditという物があります。これは日本語でいうと「宿泊費還付」のような物でオンタリオ州のホテルやホステル、キャンプ場に支払った額に応じて還付が受けられるという物です。
このOntario Staycation Tax Creditを受け取る為にはGST/HST Number(税徴収の為に企業に付けられた固有の番号)が記載された領収書を用意する必要があります。
年間$1000まで請求する事ができそのうちの20%がクレジットとして還付されます。(単身の場合)
ワーホリで渡航する人の中には最初の数週間はホテルやホステルに滞在して家を探す人も多いはずなので覚えておいて下さい。
- その他
その他にもTax Returnの項目はたくさんあります。例えば公立カレッジの学費、固定資産税、低所得者向けの控除、医療費などがあります。
一覧はこちらから調べることができます。
Claiming deductions, credits, and expenses
カナダのTax Returnには税制度上の居住者は申請できるがそれ以外は申請できないみたいな項目がたくさんあります。
レシートの有無、支払った金額だけで判断するのではなく、
- Non-ResidentまたはDeemed Residentでも申請できるか
- 昨年1年間カナダに居住していなくても申請できるか
の2点にしっかりと着目して申請するといいでしょう。
よくある落とし穴
Tax returnの項目には私たちワーホリビザ保持者が対象外になる可能性が高いのものがたくさんあります。ここでは間違って申請しがちな項目をまとめてみました。
- Climate action incentive payment
Resident限定の申請項目ですので申請できません。
Climate action incentive payment
- Canada workers benefit
CWBの条件は、
- 19歳以上の収入があった人
- 一年を通してカナダに住んでいた
です。1年間丸々カナダに住んでいる必要があるので全ての人が該当するわけではありません。
- Ontario Energy and Property Tax Credit
シャアハウスやホームステイの家賃を請求したいところですが、固定資産税をを誰が払っているかどうかが大事なポイントになるので大家さんとCRAに確認してみてください。
Ontario Energy and Property Tax Credit
わからないことがあったらCRAのチャットサービスがあるので聞いてみてください。
CRAのチャットサービスはリンクを送ってくるばかりであまり使えなかったので電話をした方が早く問題が解決します。
+1 800-959-8281
Tax Returnの方法
BC州とON州でのT4を3枚とOntario Staycation Tax Creditを申請した場合の流れです。
ステップ1 書類を準備する
まずは必要な書類を準備します。職場で貰えるT4は毎年1月末ごろから配られます。なかなか配られない場合は雇用主に催促しましょう。
Tax Returnのそれぞれの項目の計算には書類が必要なので余裕を持って準備してください。
オンラインも郵送も提出の際には書類の原本は必要ありませんが、CRAのサイトには原本は提示ができるように6年は保存するよう書かれています。
ステップ2 Turbo Taxで還付金を計算
まずはTurbo Taxのサイトにアクセスします。

Freeのプランを選択します。続いて個人情報を入力してTurbo Taxのアカウントを作成します。

ここからはひたすら質問に答えて、残りの個人情報を入力していきます。例えばこちらの質問は、
- カナダの国民ですか?
- 臓器提供の為に連絡先を政府に共有することを許可しますか?
のような感じです。ひとつひとつの質問はそんなに難しく無いので翻訳を駆使して答えてください。SINもこの段階で聞かれるので間違いのないように入力してください。

質問をひとつひとつ解説するととんでもなく長くなるので割愛させていただきます、、、

全ての質問の回答と個人情報の入力が終わるとこの画面が出てきますがこれはCRAアカウントを持っている人が対象なので「Skip」を選択してください。
次はTax関連の入力です。

「昨年働いた」にチェックを入れると途中でT4の内容を入力する画面が出てきます。T4には番号が振られているので数値をそのまま入力していくだけです。
2枚以上のT4を提出することも可能です。上の画像の次のページにT4を追加するボタンがあります。

この画面になったら「Add」から自分の申請したい項目を選択して入力する事ができます。今回は「Ontario Staycation Tax Credit」を申請したいので検索窓に打ち込みます。

Ontario Staycation Tax Creditは宿泊した期間、宿泊先、施設タイプ、GST/HST番号、支払った金額を入力してください。

入力を進めていき、還付金の概算を確認したらこのような画面が出てきます。こちらはオンラインで提出するかどうかを聞かれているのでSign upしないを選択してください。

最後にこの画面が出てくるので「Print & mail your return」を選択してください。選択するとPDFがダウンロードできるようになります。これでTurbo Taxでの作業は完了です。
ステップ3 CRAに郵送で提出
先ほどのステップで作成したPDFファイルの内容を全て印刷します。
郵送時に書類を追加で作成したり、T4などの参考書類を添付する必要はありません。

封筒を用意して書類を全て入れます。今回は居住地区がトロントだったので、
Sudbury Tax Centre
1050 Notre Dame Avenue
Sudbury ON P3A 5C2
こちらの住所に送りました。
宛名はこちらを参考にしてください。Non-resident individualsの欄を確認してください。
Where to mail your paper T1 return
封筒に封をしたらあとはCanada Postに持っていって投函するだけ。トロントのダウンタウンからの送料は$1.21でした。
2023年現在はNon-Residentの還付はFaxでも行えるそうです。ちなみにFaxで提出してもスピードはあんまり変わらないと言われました。
ステップ4 小切手で還付を受け取る
Tax Returnの手続きが完了すると還付の小切手と申請内容が書かれた紙が何枚か入った封筒が自宅に届きます。

小切手が送られてくるまでは最大で8週間かかるそうです。
今回は2023年4月3日に書類を発送し、5月23日に小切手が到着しました。7週間と2日掛かりましたが今回はCRAのストライキが重なったためここまで長くなったのだと思います。
小切手が届いたら銀行に持って行くか銀行のアプリを使用して現金を受け取ります。
ここではCIBC銀行のアプリで受け取る方法を説明します。まず小切手の裏側にサインと自分の自分の住所を書きます。
CIBC公式アプリの中のeDepositという項目を選択します。

小切手の表面と裏面の写真を撮影し、金額と送金先の口座を選択します。Nextを押したあとは流れに従うだけで即時に口座に入金されます。

小切手と聞くとあまり馴染みがないのでもっと面倒かと思っていましたが思っていた数倍簡単でした!
実際の還付金額
ここでは実際の還付金額とその内訳を紹介します。実際にどのくらい働けばいくら還付が受けられるかという大体の見積もりに参考にしてください。
Tax Returnをした人の概要
- 2022年7月にカナダにワーホリビザで渡航
- 2022年はバンクーバー2社、トロント1社で働く
- 2022年の収入が約9500$
- 2022年のオンタリオでの宿泊代が約800$

実際の還付額は1016.77$でした。
内訳はこんな感じです。
所得税の還付 $745.75
年金の過払い分 $107.43
Ontario Staycation Tax Credit $163.59
------------------------------------------------------------------------
合計 $1016.77

あれでもTotal Credits$2444になってない???
そうなんです。収入が基準値より低いため、計算ソフトでは除外して見積りにも入っていなかったにも関わらず勝手にCWB(Canada Workers Benefit)が適用になってしまっていたのです。

電話でCRAに問い合わせたところT1の1枚目の真ん中にある入国日を記入する欄が空欄になっていた為、対象になってしまったようです。
Turbo Taxを使った方でTax Returnを申請する年度途中で入国した人はこの項目を埋めるのを忘れないでください。
(私たちResident of Canada in 2022 for income tax purposes じゃないじゃんと思った方、わかります。でもこれ以上考えると頭おかしくなりそうなので勘弁してください。。。)
CRAにどうすればいいか尋ねると、修正が必要なのでT1 adjustmentを提出するように言われました。T1 adjustmentはこちらからダウンロードできます。
修正をしないと突然返金の命令が来たり、罰金が課せられる可能性があるので返金することをお勧めします。
詳しい修正方法はCRAに聞いてください。修正には最大で12週かかるそうなのでできるだけミスの無いように申請しましょう。
このブログは友達に協力してもらって友達の還付についてブログを作成しています。
まとめ
- ワーホリビザでカナダで労働した人はTax Returnをする必要がある
- ワーホリで来ている人はオンラインで申請ができないので郵送で申請する必要がある
- Turbo Taxを使って書類を作れば手間を省けてお金も掛からない
- 下調べをしっかりと行えば自分でTax Returnをすることが可能
オンラインで申請したりすることは自己責任なので個人の自由ですが、オンライン申請を正しい情報かのようにブログなどで紹介しているのはどうかと思います。。。